太鼓の胴について

 

太鼓の胴には一本の木をくり抜いて作られたくり抜き胴、桶や樽のように板と板を張り合わせた集成胴(張合わせ胴)、型に樹脂を流し込んで作る合成樹脂胴(合成けやき胴)などがあります。

当店では創業以来、国産のくり抜き胴を使用しておりますが、近年はお求めやすい合成けやき胴での製作もお受けしております。

太鼓の規格で唯一統一されているのは革を張る面の直径(胴の口径)で、胴の長さや膨らみ具合は太鼓屋さんによって差があります。
また自然の物ですので木目も違えば重さに差が出ることもございます。

現在当店で扱う胴の寸法は統一しておりますが、昔は膨らみが少ない、丈が短い等仕上がりにバラツキもありました。

革を張り上げる前の太鼓の胴は乾燥させる過程で保管中にひびが入ったり変形したりする物もあります。

そのような商品として扱いにくい胴は革の型取り用にしたり、手を加えて革を張り展示用、貸出し用に使います。

ごく稀ではありますがお客様のご要望で、「どうしてもこの大きさの太鼓が欲しいが予算が合わない」といったご相談を受け規格外の胴を加工利用して特別価格で販売することもございます。

もちろん内容を説明しご納得いただいた上でのことです。

 

ただ通常の太鼓を製作するより作業工程も増え手間も時間も掛かるため、大きさや胴の材質を変更して頂いたり若しくはよりお求めやすい合成けやき胴をお勧めして、出来るだけお断りさせていただいております。

先日、26年前に当店でお買い上げいただいた太鼓を張替修理のために他の太鼓屋さんに持ち込んだところ胴に加工が施されていると伝えられたとのご相談を受けました。

あいにく私がこの仕事に就く前の事で、先代も他界し当時の経緯が分かりません。
そこで帳簿を確認したところ太鼓の大きさの割にかなりお安く販売していることがわかりました。
お客様には、おそらく限られた予算内でご要望にお応えするために規格外の胴を使用して特別にお作りした太鼓のようですとご説明しご理解いただきました。

時が経つとこのような経緯も曖昧になってしまいます。今後は詳細に記録を残し、より商品管理に努めてまいります。

この度はお客様にご心配をおかけして誠に申し訳ございませんでした。